『本は読んだらすぐアウトプットする!、齋藤孝著、興陽館』を読んで。
この本は、タイトルにもあるように、本を読んだらすぐにアウトプットすることを勧めており、それらの技法が『55の読書の技法』として書かれています。
が、実際にアウトプット関連の技法については、20程度しか書かれておらず、残りは読書の重要性について書かれていました。
内容としては、広く浅く書かれており、読書の方法について短時間(1時間もあれば読み終わります。)でざっと重要な点について確認することができます。
ですが、普段から意識をして本を読む人には、すでに知っているような内容や、実践している内容ばかりで、そこまで新たなものや気づきを得られるようなものではないと思います。
そのため、以下のような人におススメの本だと思いました。
・これから読書をいろいろしてみようと思っている読書ビギナー
・本を読むけど内容をあまり覚えられない人、すぐ忘れちゃう人
・小難しい読書術の本は読みたくない人
・中学生
本は読んだら人に伝える
この本では、本を読んだら内容を人に伝えることで忘れにくくなると述べています。具体的には、
本を読んで何かを学んだら、「へぇ」で終わらないよう心がけること。たとえば内容を誰かに伝えるという形でアウトプットし、復習効果により記憶に定着させる。どういう形にせよ、アウトプットを意識して本を読むことがポイントです。
私もこのことには大賛成です。
具体的には、人に話すよりも、文字にすること、特にブログなどで発信することをお勧めします。
実は文章化するということはけっこう大変で、ただ頭の中のものを書きなぐっても魅力ある文章にはなりません。
頭の中を整理し、文章化し、推敲することで、より内容を理解することができますし、文章力の向上にもつながります。
この文章化すること自体が、思考を整理することに大いに役に立つと思っています。
この辺のノウハウは、『メモの魔力-前田裕二著-』で、とても分かりやすくまとめられています。
1テーマで5冊読む
この本では、何か新しい分野の知識を得る際には、1テーマで5冊読むことを勧めています。
理想的な読み方は、1テーマ5冊、少なくとも3冊、続けて読むことです。3冊なら「ちょっと詳しい」、5冊なら「けっこう詳しい」レベルに達します。
私もこの技法はとても重要だと思います。
1つのテーマについて、多角的な視点から5冊も本を読めば、かなりの知識が得られると考えています。
では、具体的にどのような5冊の本を読めばいいのか。次に具体的に説明してみたいと思います。
日本国憲法についての本を読む場合
例えば、今話題の憲法改正について詳しく知りたいとします。
今の時代ではネットでいくらでも情報収集ができますが、私は、本を読むことをお勧めします。
この場合、どのような本を読めばいいのか。
私なら、次のような本を読みます。
①『日本国憲法とは』といった簡単な日本国憲法そのものと歴史、重要な点が分かる本を1冊
②『他国の憲法について』といった、日本と他国を比べ、日本は世界とどう違うのかというものが分かる本を1冊
③『憲法改正についてできるだけ公平な視点から述べられている本』を1冊
④『憲法改正について賛成派の意見の本』を1冊
⑤『憲法改正について反対派の意見の本』を1冊
一言に賛成派、反対派とまとめていますが、実際にはそれぞれの立場の中にも、異なる立場で賛成、反対に分かれています。
さまざまな立場で書かれている本をさらに読めば、もっと理解は深まると思います。
投資の勉強についての本を読む場合
老後を安泰に過ごすためには、2000万円の貯蓄が必要だと話題になっていますよね。
具体的な1つの方法として、投資は今ホットな話題かと思います。
では、投資について勉強しようと思ったときに、どのような本を読めばいいのか。
例えば、株式投資をしようと思っている場合でも、いきなり株の本ではなく、私なら次のような本を読みます。
①『資産運用』といった、具体的な投資の勉強の前のお金の運用の仕方についての本を1冊
②『不労所得』についての本を1冊
③『株』についての本を1冊
④『不動産』についての本を1冊
⑤『NISAやiDECO』についての本を1冊
ここまで読んで、実際に株について運用を行います。
投資については、もっと多くの本を読んでもいいと思います。例えば、実際にすることはなくても、FXについての知識もかじっておいていいかもしれません。
実際に、株式投資を勧める本でも、『株はギャンブルだ』という本や『株はギャンブルではない』という本があったりします。
このように、異なる意見を参考にし、どちらの意見の方が正しいのか(正解がない場合もあります。)、どちらの意見の方が自分の考えに近いか、といったことを考えてみることがいいと思います(このような考え方をクリティカルシンキングと言います。)。
このようにして得られた知識というのは、身につきやすいし、忘れにくくなります。
線を引きながら読む
3色ボールペンを使って重要な点に線を引くことをお勧めしています。
私も本に記入することはお勧めします。
さらに、線を引くだけでなく、読んだときに感じたことを書き込むことをお勧めします。
これは、書き込んだメモ自体を重要視しているのではなく、その時の感じた考えを文字化することに意味があると思っています。
普段、本を読みながら多くのことを考えているかと思いますが、メモをしなければ考えるだけで終わってしまい、記憶として残りにくいです。
また文字化することで思考を整理することができます。
このように、本に感じたことをメモすることは、文字化することによる、思考の整理と記憶の定着が得られると考えます。
本は読んだらすぐアウトプットする!のまとめ
ここまでの引用箇所からも分かるように、この本の1つ1つの説明は割と浅い内容です。
だからこそさっと短時間で読み終えることができます。
内容自体はとても正しいことが書かれていますので、本を読む際に何が重要かざっと確認してみたい人や、どんやことが書かれているのかなと気になる人はぜひ読んでみてください。
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