今世界の状況がどのようになっているか、どれくらいの人が分かっているでしょうか?
世界中で貧困に苦しむ人はどのくらいいるのでしょうか?
多い?少ない?増えている?減っている?

本も良く読むし、結構知っているよ
という人。本当ですか?
実は、世の中の人の多くが、
『自分が思っている程は世界のことを分かっていない』
ということを突き付けられる本があります。
それは、
『FACT FULNESS ハンス・ロスリング著 日経PB社』です。
この本では、『現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?』といった質問を始めに、最初に13の質問が3択問題として出されています。
何割かわかりますか?
実際のアンケートの結果では、3択問題にもかかわらず3割以下の正解率だったとのことです。
このように、この本では知っているようで知らなかった世界の状況について知ることができます。
・世界の貧困について知らない人
・世界のことを知りたい人
・事実を数字で知りたい人
FACT FULNESS ハンス・ロスリング著 の概要
この本では、最初に13の質問が投げかけられます。
全部書くのは大変なので私が気になった6つを抜粋します。
いったい、いくつ答える自信があるでしょうか?
質問1 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を収容するでしょう?
A20% B40% C60%質問2 世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?
A低所得国 B中所得国 C高所得国質問3 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年で変わったでしょう?
A約2倍になった Bあまり変わっていない C半分になった質問4 世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?
A50歳 B60歳 C70歳質問9 世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?
A20% B50% C80%質問12 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう?
A20% B50% C80%
さて。自信を持って回答できるのはいくつあったでしょうか?
全部で13問あるのですが、高学歴者でも正解率は約2割だそうです。
つまり、3択問題ですので、チンパンジーに適当に選ばせた正解率よりも低いのです。
答えが気になる人は、ぜひ本を購入するか立ち読みでもしてみてください。
質問に回答できなかった人は、ぜひ本を読んでみることをおすすめします。

自分はけっこう分かったから読む必要ないかな?
という方もいるかもしれませんが、それでも読んでみて損はない本です。
私も多くの問題で正解しましたが、実際に本を読み進めてみると、知らなかった事実がたくさんありました。
本題にもどりますが、では、どうして多くの人がチンパンジーにすら負けてしまうような結果なのでしょうか?
このことについて説明していきます。
知識不足だから?
『知識不足だから知らない』というのは間違いありません。
知らないから回答できない。
当然の結果ですよね。
ですが、ここで重要になるのは、『なぜ知識不足なのか?』を理解することです。
今のネット時代では、いくらでも世界の情報を収集することができますよね?
テレビでも世界の状況は流れますし、NHKなんてそういった番組をしょっちゅう特集しています。
義務教育でもそれなりに学んでいます。
本当に知識不足だけが原因なんでしょうか?
この本では、その理由を次の10の思い込みであると説明しています。
・「世界は分断されている」という思い込み
・「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
・「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
・危険でないことを、恐ろしいことと考えてしまう思い込み
・「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
・「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
・「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
・「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
・「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
・「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
このうち、私も特に興味深かった2つについて説明します。
世界は分断されているという思い込み
人は誰しも、さまざまな物事や人々を2つのグループに分けないと気が済まないものだ。そして、その2つのグループの間には、決して埋まることのない溝がはるはずだと思い込む。
つまり、人は自然に「金持ち」と「貧乏」、「先進国」と「途上国」というように、「あっち側」と「こっち側」というように対立関係で分けてしまうというのです。
貧困と聞くと私たちはアフリカの貧しい暮らしを想像しますよね。
子ども達は、靴も履けずに素足で遠い水くみ場まで水を汲みに行く。
日々の暮らしは大変で、学校で学ぶ時間もない。
病気にでもなれば命の危険がある。
残念ながら今でもそのような暮らしをしている人たちはいますが、全人口70億人に対して10億人といわれています。
では、私たち日本に住む人たちのように、経済的に裕福な国に住んでいる人たちは何人いるのか。
約10億人といわれています。
つまり、残りの約50億人は「金持ち」でも「貧乏」でもない、その中間にいるのです。
このように、2つに対立しているのではなく、その中間の方が実は圧倒的に多いのです。
ですが、メディアやその視聴者は対立という構造に心が動かされてしまいます。
そのため、正しい情報を正しく認識することが難しくなってしまっているのです。
世界はどんどん悪くなっているという思い込み
人は誰しも、物事のポジティブな面より、ネガティブな面に注目しやすい
例えば、日本の少年犯罪は減っていると思いますか?それとも増えていると思いますか?
答えは急激に減少しています。

単純に子供の数が減っているからじゃないの?
という質問がでそうですが、子供の数を考慮に入れても減っているんです。
ですが、なんとなくテレビ報道なんかをみると、近年急に増えたかのような印象がありますよね?
他にも高齢者の自動車事故。
確かに高齢者の方が事故の数が多いのですが、人口の比率からいうと、世間で言われるほどは多くありません。
むしろ、若者の方が多いくらいです。
(注)重大事故については、高齢者の方が高い
(注)85歳以上は事故率が急上昇する
このように、悪いニュースの方が広まりやすいのです。
この本では、恐怖本能の例として飛行機事故を取り上げています。
2016年には、4000万機の旅客機が、死者をひとりも出さずに目的地に到着した。死亡事故が起きたのはたったの10機。メディアが取り上げたのは、全体の0.000025%でしかない、この10機のほうだった。安全なフライトがニュースを飾ることはない。
まさにそのとおりですよね。
飛行機が安全に飛んだところで、『今日も飛行機全100機は安全に飛行しました』なんてニュースが流れることはありませんよね。
このように、
・いい出来事はニュースになりにくいこと
・悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らないこと
を知っておくことが重要です。
FACT FULNESSのまとめ
この本は、教養がある人でも、実は勘違いしている世界の最新の情報が詰まっています。
世界の貧困の状況。
知っているつもりで実は全然知らなかった。
実はあなたもそのひとりかもしれません。
ぜひこの本を手にとってみて、知らなかった事実に触れてみてください。
参考
・警視庁 平成26年少年非行情勢について
・原付以上運転者(第1当事者)の免許保有者10万人あたり交通死亡事故件数(年齢階層別)
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