『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください 山崎元・大橋弘祐著 株式会社文響社』の感想
著者の紹介
本書カバーより
山崎元:経済評論家。専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。獨協大学経済学部特任教授。マイベンチマーク代表取締役。1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業、三菱商事に入社。野村投信、住友信託、メリルリンチ証券など12回の転職を経て現職。雑誌連載、テレビ出演多数。
この本は、本当に初心者に向けられた、お金についての本です。
国債とはといったことから始まり、どういう投信を買えばいいかということまで簡単に説明してあります。
内容もシンプルで、あっという間に読み終わり、一番基本的なことをズバッと教えてくれる本です。
とりあえずお金の運用について何も分からない人が、最初の一冊に選んで問題ないと思います。
・お金を増やしたい人
・これから投資を始めてみたい人
・どんな投資信託を買えばいいか迷っている人
お金の運用の必要性
ひと昔前であれば、銀行にお金を預けるだけで、年利7%なんて時代がありました。
そんな時代では、お金は銀行にさえ預けておけば、10年で倍になります。
こんな状態では誰も投資なんてしませんよね。
ですが、現在の銀行の利率は0.1%です。
こんなもの手数料を1回とられてしまえば、あっという間になくなってしまう金額です。
こんな時代には、自分でお金を運用する必要性が出てきます。
お金を運用することが大事なのは分かるけど損はしたくないなぁ
という、初心者のために、最初に安全に運用する方法について説明があります。
お金安全に運用する
現代はお金を安全に運用するための方法として次の3つを説明しています。
①国債を買う
②銀行に近づかない
③ネット証券を活用する
この銀行に近づかないと言いきっちゃうのががいいですよね。
①国債を買う
国債はリターンが少ないですが、もっとも安全な運用方法の1つです。
個人向けの日本国債は途中で解約しない限り減らない。元本保証だから
今だったら10年もので0.3%くらいの利回り。みずほ銀行の定期預金がだいたい0.12%くらいだから銀行に預けているよりは、ちょっといいんじゃない。
まさにそのとおりです。
銀行に預けるよりも金利が若干高いので、運用という視点では国債の方がいいです。
ですが、リターンが非常に少ないということは否めません。
これで十分という人は国債でいいのでしょうが、
多少リスクがあってもいいからもう少し欲しいなぁ
という人には、後で紹介する株式投資の方がお勧めです。
②銀行に近づかない
まさにその通りなんですが、これを言いきってしまうのはすごいと思いました。
客が得するものじゃなくて、自分たちが得するものを売ろうとする
最近の銀行員は証券マン並みに強引に営業している
銀行の無料相談窓口にいる人なんて羊の皮をかぶった狼だと思った方がいい
と銀行での取引は絶対におすすめしていません。
確かに正しいです。
銀行で手続きをすると、余計な手数料がかかったり、本当に良いものを勧めてもらえないことがあります。
おすすめは、ネット証券を活用することです。
③ネット証券を活用する
ネット証券の大手は『SBI証券』『楽天証券』『マネックス証券』などがあります。
最大手は『SBI証券』ですが、もし楽天カードをもっているなら『楽天証券』がおすすめです。
ポイントがたまります。
リスクをとる株式投資
次にリスクがある株式投資についての説明があります。
株取引というと、パソコンの前でこんな数字を追い求めるようなイメージがあるかもしれませんが、こんなのは一部のデイトレーダーだけです。
多くの人は、お金をプロに任せて運用してもらいます。
このことを投資信託(投信)といいます。
日中に仕事をしている普通の人が、株の値動きを気にするよりもプロに任せてしまった方がよっぽど楽です。
投資信託のメリットは次の2つです。
①自分で運用する必要がなく、プロに任せられる
②少額で分散投資ができる
③海外にも投資できる
①については、上で説明した通りです。
②少額で分散投資ができる
株を個人で買う場合は、最低でも100万円ないと買えない株がざらにあります。
このような株を買いたい場合に、投資信託が有効です。
投資信託とは自分のお金を預けて代わりに運用してもらいます。
同じような人が100人いれば、一人1万円ずつ出し合って、みんなで100万円の株を買うことができます。
このように、例えば一人1万円という額で株を始めることができます。
ですが、1種類の株だけを買っても、その会社が倒産してしまったら危険ですよね?
例えば、1000人いた場合では、100万円の株を10種類買うことができます。
このうち1社が倒産してしまっても、残りの900万は無事に運用することができます。
このように、リスクを分散させて投資することができるようになります。
③海外にも投資できる
個人で海外の株を買おうと思うと面倒ですが、投資信託の場合は、勝手に良いバランスで買ってくれて、それをパッケージとして提供しています。
要するに私たちは、数あるパッケージのなかから
これがよさそう!!
と選ぶだけで大丈夫なんです。
ただし、少しデメリットもあります。
・パッケージにより運用結果がまちまち
・手数料がかかる
少し考えれば分かる当然のデメリットですね。
どんな投資信託を選べばいいのか
投資信託を選らぶポイントとして次のようにズバリ書いています。
【投資信託を買うときのポイント】
・運用管理費用(信託報酬)の安いものを選ぶ。
・販売手数料の安いチャネル(ネット証券)で買う。
・毎月分配型を選ばない。
・ファンドの資産規模、流動性を確認する。
・過去の成績で選ばない
そして、さらに、具体的にどの投信がいいかも書いています。
①上場インデックスファンドTOPIX(国内株式の投資信託)
②ニッセイ外国株式インデックスファンド(海外株式の投資信託)
②については、私も買っていて個人的におすすめです。
販売手数料が0で、運営管理手数料も0.1%とかなり安いです。
もっとも人気のある投資信託の1つです。
家は買った方がいいか
この本では、投資のことだけでなく、家を購入した方がいいかということにまで触れています。
結論としては、家は負債、特にローンをしてまで購入する場合は大きな負債となります。
これは、世界的大ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』でも書かれていることですね。
家のローンを抱えたまま、株式投資をすることはおすすめしていません。
仮に家のローンが金利2%だとしたら、早く返すだけ、2%で運用しているともいえる。リスクゼロで確実にプラス2%で運用できる方法なんて今はないから、全力でローンを返した方がいい。
まさにそのとおりです。
このことは『投資戦略の発想法』という本でも書かれています。
さいごに
この他にも、医療保険に入るべきかやNISAやiDeCoを使ってうまく運用する方法についても触れられていました。
個人的にはiDeCoは素晴らしい制度ですが、少し注意が必要だと思っています。
その点を除けば、お金の運用方法について非常に分かりやすいく簡単にまとめてある本だと思います。
帯に『1時間で分かる!』とありますが、本当に1時間で分かる内容です。
まったくこれからお金の勉強を始めようという人には、最初の1冊としておすすめできる本です。
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