『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え,岸見一郎 古賀史健 著,2013/12/13』を読んで
この本は、アドラー心理学についてとても分かりやすくまとめられています。
私がこれまでに読んだ本の中でももっとも感銘を受けた本の1つで、ぜひ多くの人に読んでいただきたいです。
累計発行部数が200万部を超えており、数多くの人に読まれたベストセラー中のベストセラーです。
著者の紹介
岸見一郎:哲学者。1956年強度生まれ、京都在住。高校生の頃から哲学を志し、大学進学後は先生の自宅にたびたび押しかけては議論をふっかける。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの”青年”のカウンセリングを行う。本書では原案を担当。
古賀史健:フリーランスライター。1973年生まれ。書籍のライティング(聞き書きスタイルの執筆)を専門とし、ビジネス書やノンフィクションで数多くのベストセラーを手掛ける。20代の終わりにアドラー心理学と出会い、常識を覆すその思想に衝撃を受ける。その後何年にもわたり京都の岸見一郎氏を訪ね、アドラー心理学の本質について聞きだし、本書ではギリシア哲学の古典的手法である「対話篇」へと落とし込んだ。
カバーより
周りの目を気にし、期待に応えようとするあまり、神経をすり減らしてしまってはいませんか?
あなたの人生はあなたのものであり、あなたは他人の期待に応えるために生きているわけではありません。
周りの期待に応える必要なんてないんです。
この本を読むことで、これまで周りの目を気にして生きてきたあなたが、その呪縛から解放されることができます。
過去にとらわれるな
大切なのは過去の出来事ではなく、今をどうするのかです。
あらゆる結果の前には原因がある
という訳ではありません。
この考え方をアドラーは『決定論』とよんでおり、決定論を明確に否定し、過去など関係ないとしています。
決定論とは
過去の原因にばかり目を向け、原因だけで物事を説明しようとすると、話はおのずと「決定論」に行きつきます。すなわち、われわれの現在、そして未来は、すべて過去の出来事によって決定済であり、動かしようのないものである。
実際そうではないですよね。
過去の出来事で未来が決まってしまうなんで、現実的ではないですし、そんな世界は嫌です。
そう!!
過去は関係がないといっているんです。
ですが、
実際には、過去のトラウマにとらわれてしまって、変わりたくても変われない人、行動することができない人ってのはいますよね?
それはどう説明するのでしょうか?
アドラーは、「目的論」という言葉で説明をしています。
目的論とは
アドラーはすべてのことについて、目的があるといっています。
これだけだとよくわからないと思うので、具体的に説明してみます。
たとえば、発表会が開かれるとして、みんなの前で何が発表しないといけないとします。
当然、人前に出て何かを話すことは緊張しますよね。
緊張しておなかが痛くなってしまう人は、本領を発揮することができないかもしれません。
そうなると、発表をうまくするために緊張しない方法を探したくなりますよね。
しかし、アドラーはこの考え、つまり、緊張してお腹が痛くなるから発表がうまくいかないというのは違うと明確に否定をしています。
では、どう言っているのでしょうか?
それは、発表に失敗して周りからの批判を避けるために、おなかがいたいことを言い訳に使っているといっています。
つまり、『失敗してみんなから非難されたくない』 という目的があるから 『おなかが痛いという言い訳を用意する』ということです。
もっと言うのであれば、失敗した時の言い訳にお腹が痛いことを利用しているというのです。
ちょっと不思議な感じがしますよね。
でもこの考え方をうまく使うことで、これからの人生をよりよく変えることができるとアドラーは言います。
目的論を使って過去を気にしない
例えば、両親が離婚してしまって両親からの愛情を満足に受けることができなかった人がいるとします。
そういった人が『自分が人を愛せない』 それは 『親から愛してもらえなかったからだ』という考え方をしてしまっている場合、それは違うということをアドラーは言っています。
アドラーはそれは、人を愛せない言い訳として両親の離婚を使っているということになります。
つまり本当は、今、人を愛せないことと両親の離婚は関係がないのです。
このことを理解していれば、過去のできごとは今に影響を与えないということが言えます。
アドラーはトラウマについても明確に否定をしています。
過去の出来事は、現在とそしてこれからには影響はないんだ、と考えることで今をよりよくすることができます。
過去の失敗をいつまでも引きずらずに、過去は過去で、これからはきっとうまくできると割り切ることが重要です。
過去の出来事を言い訳にせず、今これからできることを頑張る。
かなり厳しいことを述べられていますが、過去に縛られず踏み出す勇気が今をよりよくしてくれるでしょう。
課題の分離
どうしても自分にできることとできないことというのは存在します。
特に他人の行動というのは自分ではどうすることもできないことです。
自分の課題と他人の課題を明確に分けるべきです。
自分の課題と他人の課題を分離する
周りの目を気にしてしまい、
・人から褒めてもらいたい
・人に認めてもらいたい
・親の期待に応えたい
・人から非難されたくない
といった気持ちはみんなもっていますよね?
しかしこれらのことは、他人が評価することであり、他人の課題(他人にしかコントロールできない課題)です。
あなたが、いくら頑張っても他人の評価を変えることはできません。
極端に言ってしまえば、他人の課題に関することは無視してしまって、自分に関する課題(自分にコントロールすることができる課題)に真摯に取り組むべきです。
人のために生きるのではなく自分のために生きるべきです。
承認欲求を捨てる
承認欲求を捨てる。難しいことですよね。
人から褒められるための行動をやめてしまったら、人から嫌われてしまうかもしれない。
しかし、幸せになるためには、自分が信じることを頑張るしかないのです。
他人からよい評価をもらうことが本当に幸せなことでしょうか?
人からの評価のために頑張るのではなく、自分の想像する理想とする自分へ近づけるよう努力を行うべきです。
きっとこのような人こそ、人から評価されることにつながると思います。
まさに、この本のタイトル『嫌われる勇気』のように、人からの評価におびえることなく自分の信じる道を進んでみませんか?
他人の課題は本当にコントロールできないのか?
上には、他人の課題は自分ではコントロールできないということを書きましたが、本当にそうでしょうか?
実はうまく誘導するテクニックはあります。
ですが、最後に評価するのは結局他人で、あなたには洗脳でもしなかぎり、そこをコントロールすることはできません。
むしろ、コントロールしようとあの手この手で誘導しても、結果としてうまくいかなかったときの方がストレスが大きくなってしまいます。
・ここまでしたのに納得してもらえない
・あのとき手助けしたのに、いま助けてくれないのか
といったようなことを気に病むくらいであれば、最初から他人はコントロールできないと割り切る方が精神衛生上よさそうです。
嫌われる勇気のまとめ
この本は本当に素晴らしい本で、これまでの考え方や価値観に衝撃を与える内容でした。
私のつたない文章では、魅力をすべて伝えることができでいないかもしれません。
・他人を気にせず自分ができることに専念する
・過去を気にせず、今を最善のものにする
まさにこの本のタイトルのように、『嫌われても大丈夫だ』という感覚を持つことで、他人にしかできないことにあれこれと気を悩ませることはやめてみませんか。
実際に嫌われることなんてそうそうありませんから。
ぜひ読んでいただき何かの参考になれば幸いです。
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