私は革製品が大好きです。
財布はもちろん、バッグ、キーケース、名刺入れ、ジャケット、靴、キャップ等多くの革製品を持っています。
ついには、好きが高じてレザークラフトまで初めてしまいました。
ここでは、革のどこにそれほどの魅力があるのかについて、革の特徴を説明しながら伝えたいと思います。
革の魅力
革製品の最大の魅力は、丈夫で長持ちで自分好みに変化することです。
経年変化(エイジング)する
革製品は経年変化(エイジング)をします。
これが革製品の最大の魅力だと思っています。
よく『あめ色になる』というように表現されますが、長年大事に使った革製品はつるつると手触りがよく、いい色に変化します。
革好きな人はこの変化が大好きです。
ただ、気を付ける必要があるのですが、すべての革製品が経年変化するわけではありません。
そのため、商品を買うときには注意が必要です。
では、どういうものを買うといいのかということについては、タンニン鞣しの場所で説明します。
丈夫で長持ち
大切に使えば、5年10年は余裕で使えます。
値段は多少高いですが、長年大事に使えばコスパもいいと思います。
私が持っているもので使用期間が長いのは、革靴で20年、15年、財布で12年のものがあります。
まだまだ現役で使えそうです。
正直に言えば、革製品よりも安価で丈夫な素材は他にいくらでもあります。
が、革製品は使えば使うほど味がでてきます。
他の素材であれば、買った時が最高の状態で、それからはただただ劣化していくだけですが、革製品はどんどん自分好みの状態に変化していきます。
ただし、いい状態で長く使うためには必ずケアが必要になります。
ケアの方法については、後で説明します。
鞣し方の違い
革製品というのは、牛などの皮を使っているのですが、そのままでは当然使うことはできません。
皮を製品として使える状態にすることを鞣す(なめす)と言います。
この鞣し方には、タンニン鞣しとクロム鞣しの大きく2つの方があるのですが、基本的に経年変化をするのはタンニン鞣しの方です。
タンニン鞣しとは
昔ながらの植物のタンニンで鞣す方法です。
タンニンの渋成分につけることで、皮に含まれているたんぱく質が変化し腐りにくい状態になり、製品として使えるようになります。
タンニン鞣しのメリット
タンニン鞣しの副産物として得られるのが経年変化(エイジング)です。
タンニンは紫外線に当たることで茶色く色が変化します。
干し柿を作ったことがある人であれば知っているかもしれませんが、柿自体は黄色っぽい色ですが、天日で干すことにより、紫外線と反応して色が茶色に変化します。
これと同じようにタンニンで鞣された革製品は色が茶色く変化するのです。
決してきたなく汚れているわけではありません。
また、もう一つタンニン鞣しであるために良い副産物があります。
それは、タンニンの渋成分により、皮の繊維がキュッとしまります。
そのため、キメが細かくなり、つるつるとした肌触りでハリのある硬い革になります。
革を大事に育てたい人や経変変化を楽しみたい人は、タンニン鞣しのものを買うべきです。
タンニン鞣しは値段が高い
ただし、このタンニン鞣しは昔ながらの製法であり、非常に手間と時間がかかるため、どうしても金額が高額になってしまいます。
特にピット鞣しという方法は、規模も大きく見た目にも壮観な鞣し方です。
機会があれば見学にいってみるととても面白いと思います。
似たような革製品でも金額に大きな違いがあるのは、このタンニン鞣しかクロム鞣しかという違いが大きいです。
クロム鞣しとは
工業化学科が進み、皮の鞣しについても科学的製法で短時間で大量に作る方法が生み出されました。
それがクロム鞣しでの方法です。
大量に短時間で作ることができるため、とても安く出来上がります。
そのため、市場に出回っている革のうち9割程度がこのクロム鞣しだと言われています。
クロム鞣しのデメリット
しかし、安価で作ることができるようになった反面、革製品の魅力である『経年変化』と『きめ細かい』という特徴がほとんどなくなってしまいました。
(現在はクロム鞣しでも技術が進歩し、変化するものもあります。)
また、意外なデメリットですが、クロム鞣しの革は臭いです。薬品のにおいがどうしてもします。
実は、革自体はあまりにおいがなく、私たちが革のにおいだと思っているものは、さまざまな薬品のにおいだったりします。
タンニン鞣しの革であればにおいはほとんどありません。
このようにクロム鞣しでは、革好きとしての最大の魅力を得ることができません。
使用目的にもよりますが、多少高くともタンニン鞣しの革製品を買った方がいいと思います。
クロム鞣しのメリット
では、クロム鞣しにはメリットがないのか?
というとそんなこともありません。
クロム鞣しにもいくつかのメリットがあります。
まず、水に強いです。
多少濡れたくらいでは何ともありません。
革製品は水に弱いというイメージがあるかと思いますが、それはタンニン鞣しのものを指します。
タンニン鞣しは水に弱いです。とても弱いです。水にぬれるとあっという間にシミになります。
他にもクロム鞣しは柔らかくなります。
タンニン鞣しのメリットの裏返しですが、例えば、ジャケットなんかをタンニン鞣しで作ると鎧のような硬さのジャケットになってしまいます。
実際にタンニン鞣しの革ジャンもありますが、柔らかくするための工夫がこらしてあるため、どうしてもその分価格にも影響します。
柔らかい方がいい製品については、クロム鞣しの方がいいものもあります。
染め方の違い
革製品についてほとんどのものが染められているかと思います。
実はこの染め方でも経年変化をするしないが変わってきます。
染め方には染料染と顔料染の大きく2つがあります。
染料染とは
染料染は色を革の繊維に染み込ませるようにして染める方法です。
そのため、革の表面の特徴がそのまま見えることになります。
皮本来にあった生きているときの傷や虫刺され、シワなどがそのまま見えます。
逆に言えばこれがメリットであり、革の本来の表情を楽しむことができます。
また、極端に傷が多いものであれば、見た目が悪く売れなくなってしまうため、染料染ができるのはそれなりに質が良い革でなければいけません。
逆に革の質が悪いものは顔料染をされることになります。
革を大事に育てたい人や経変変化を楽しみたい人は、染料染のものを買うべきです。
デメリットとしては、色落ちがあったり、水シミができたりします。
顔料染とは
顔料染とは染料のように染み込ませるのとはことなり、表面をコーティングします。
よく『ペンキを塗る』というように例えられます。
革の表面をペンキでべったりと塗ってしまうため、革の表情を楽しむことが全くできません。
タンニン鞣しとかクロム鞣しとか全く関係なく、顔料染である時点で経年変化を楽しめなくなります。
(ただし、最近は顔料染であっても経年変化を楽しめる染め方もあります。)
つまり、革の表面が商品にできるようなレベルにないものについて、ペンキでべっとりと覆い隠してしまうということです。
しかも!!
そのペンキは早ければ2年ほどでぺりぺりとはがれてきてしまいます。
せっかく革製品の特長である、長く使えるというメリットを生かすことができません。
では顔料染にメリットはないのか?
そんなことはありません。
顔料染にもいくつかのメリットがあります。
まず、水に強いです。
ペンキで表面を覆っているため、中に水が浸透しません。
また、ペンキ塗りをするため、表面が均一できれいになります。
もとがどんなに粗悪な革であっても、きれいに見せることができます。
どんな革を買えばいいか
ここまでの話をまとめると、おすすめできる革は、次の2つになります。
・タンニン鞣しであること
・染料染であること
そしてこの2つは、革を大事に育てたい人、経年変化を楽しみたい人に必要な条件であるのですが、これらには次のデメリットがあります。
水に弱くデリケートである
そのため、必ずケアが必要になります。
ケアの方法
ケアの方法と言ってもそんなに神経質になる必要はありません。
基本的には次の3つをすれば大丈夫です。
①汚れをおとすこと
②油分を補充すること
③水に気を付けること
①汚れをおとすこと
タンニン鞣し、染料染の両方に共通する特徴として、デリケートということがあります。
そのため汚れにも弱く、ぱっと見は気づかなくてもかなり汚れていることがあります。
汚れをそのまま放置すると、見た目にも汚いですが、油分を失うなど革へダメージを与えることにもなります。
定期的に、少なくとも3ヵ月に1回は手入れをすることをお勧めします。
レザー用のケア用品はいくらでも探せば売っていますので、正直どれでも大丈夫です。
私は重曹で汚れ落としをしています。
②油分を補充すること
革製品は油分の補充が絶対に必要です。
もともと生きていたときは、自然に油分が補充されていますが、革になった後は定期的に補充しなければなりません。
これは、タンニン鞣しであってもクロム鞣しであっても同様です。
タンニン鞣しの方がよりデリケートですので、ほったらかしにするとひび割れてしまいます。
定期的に、少なくとも3ヵ月に1回は手入れをすることをお勧めします。
必ず注意が必要なのは、保湿クリームを塗る前に必ず汚れを落とすことです。
ときどき、汚れを落とさずにクリームを塗る人がいますが、それでは汚れも一緒に革の内部に浸透してしまいます。
革にダメージを与えてしまうだけでなく、はっきり言って汚いです。
レザー用品の保湿クリームはいくらでも探せば売っていますので、正直どれでも大丈夫です。
私は、ソンバーユを使っています。個人的にはミンクオイルはおすすめしません。
③水に気を付けること
まずは濡らさないように気を付けることが何よりも先決ですが、どうしても濡れてしまうことがあります。
濡れてしまった場合でも、油分をしっかり補充していればそれなりに防ぐことはできますが、それでもどうしても水シミができてしまいます。
水シミができてしまった場合は、1点だけが濡れてしまっているので目立ってしまいます。
そのため、全部を濡らしてしまえば、シミは目立たなくなりますが、自己責任でお願いします。
革の種類は?
革と一言で言っても多くの種類があります。
牛、馬、豚がメジャーですが、他にも鹿、ヤギ、ヒツジや、珍しものになるとワニ、ダチョウ、エイ、サメなどもあります。
別の記事『レザーの種類。牛馬豚の違いは?製法による違い。』でさらに詳しく説明しています。
ぜひ読んでみてください。
牛革について
世の中に流通しているほとんどの革の原料は牛です。
これは、普段世界で食べられる動物で革製品にできる動物は圧倒的に牛が多いためです。
供給量が非常に多いため、牛革だけでも、ブルハイド、カウハイド、ステアハイド、キップ、カーフ、ハラコなど種類が多数あります。
それぞれに良いところがあります。
豚革について
次いで豚多くなります。
豚革は比較的安価です。三角状の毛穴があるためすぐに豚の革だとわかります。
実は日本でも豚の革は生産されていて、豚革だけは日本から輸出できています。
馬革について
馬の革はコードバンというものが特に有名です。
コードバンは馬のお尻の部分の革ですが、非常に繊維が密できめ細かいことが特徴です。
見た目ではっきりときめ細かく美しいことが分かります。
また、コードバンについては世界でも作っている会社が少ないのですが、実は日本でも作っていて、新喜皮革という会社が作っています。
供給量が少ないため、どうしても値段が高くなってしまいますが、私のおすすめの一つです。
鹿革について
鹿革は柔らかく柔軟性が高いことが特徴です。
通気性も高いためグローブに使われることが多いです。
また、もともと含んでいる油分が多く、水に強くあまりケアを必要としないという特徴もあります。
供給量が少ないため、どうしても値段が高くなってしまいます。
エキゾチックレザー
クロコダイル、オーストリッチ(ダチョウ)、スティングレイ、ガルーシャ(エイ)、シャーク(サメ)など他にも珍しいレザーがあります。
クロコダイルは非常に値段が高いため、なかなか買うのには勇気が必要ですが、この中では、エイ(スティングレイ、ガルーシャ)が現実的な金額で、とても美しく丈夫ですので買うのであればおすすめです。
おすすめの財布ショップ
私は革製品が好きなのですが、どうしても値段が高くなってしまうため容易に買うことはできません。
私と同じような人や、これから革製品を買う人におススメしたいショップは、万双とノイジャパン(キプリス)です。
これらのショップではそれなりの製品が、それなりの金額で売られているため初心者でも買いやすいと思います。
万双
万双は広告にあまり力を入れていないようで、その分なのか価格が安くなっています。
万双独自の双鞣和地というレザーがあります。
どこのタンナーが作っているのか記載がないため、正直ちょっと怪しいですが、私が購入したバッグや名刺入れを見る限り値段の割に別に悪くはなさそうです。
ノイジャパン(キプリス)
こちらも万双と同じく比較的安価で購入することができます。
なんで安いのか良く分かりませんが、もしかしたら少しグレードが低いのかもしれません。
ただ次の商品のようにコードバンの長財布が3万円代で売られているのは結構安いと思います。
また、キプリスが特許をとっている、次の写真のようなハニーセル状のカード入れがあるのも特徴です。
ヤフオク
ヤフオクでも非常にクオリティの高いものを手作りで作り出品している人もいます。
かなり出来が良く、お店で買ったのと変わらないレベルのものが安価で出品されていたりします。
こういう掘り出し物を運よく見つけることができれば、安くいいものを手に入れるチャンスです。
おすすめの革ジャン
革ジャンはいくつか有名なショップやメーカーがありますが、やはり最初に紹介するのはエアロレザーでしょうか
エアロレザー
有名なものはホースハイドを使用したものです。
特にこのエアロレザーのホースハイドは、ホーウィン社というタンナーで特別に鞣された、馬の首周りの一番分厚く丈夫な部位で作られており、その堅牢さは異常なほどで、地面に置けば革ジャンがそのままの形で自立するほどです。
ファンは通称これを『エアロ立ち』と呼びます。
このように、とても硬い革を使用しているため、1年くらいでは体には馴染まず鎧のような状態で着る必要があります。
まさにこのじゃじゃ馬を手なずけて自分のものにするのに最大の魅力があります。
リアルマッコイズ、バスリクソンズ
日本メーカーでも有名なものがあります。
どちらも似たような革ジャンを作っているメーカーで、違いと言えば、リアルマッコイズの方が日本人の好みに少し寄せている感じで、その分少し価格が高いという点です。
どっちがいいかは好みの問題です。
これらのメーカーには、いろいろと有名なモデルがありますが、あえて1つ選ぶのであればA2タイプのフライトジャケットですね。
レザーの金額の違いなどまとめ
いかがだったでしょうか?
タンニン鞣しの染料染の革製品は、丈夫でとても魅力的なもので、長く使えばコスパもいいものです。
ですが、長く使おうと思えば同時にケアについても必要となります。
せっかく購入した革製品ですので、きちんとしたケア方法を身につけ、大事に長く付き合っていきたいです。
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