レザーに興味があるけど詳しいことがわからない、、、
エイジングとか経年変化ってどういうこと??
革の魅力っていうのはいろいろありますが、一番の魅力はエイジング(経年変化)することだと思います。
いわゆる『アメ色になる』ってやつで、自分だけのレザー製品になることですね。
ですが、レザーであればすべてエイジングするとは限らないことを知っていましたか?
それを知らずにレザーを買ってしまっても、いつまでもエイジングせず自分だけの製品になることはありません。
じゃあどういうレザー製品がエイジングするの??
レザーの種類にはタンニン鞣しとクロム鞣しの大きく2種類があるのですが、結論を言うとタンニン鞣しのレザーがエイジングします。
鞣しとは、生きた皮を製品として使える革にするための工程のことなのですが、このことを知らずにクロム鞣しのレザーを買ってしまうと、ほとんとエイジングせずにガッカリしてしまうかもしれません。
他にもタンニン鞣しであっても顔料染だとエイジングしないなど注意も必要です。
この記事ではタンニン鞣しとクロム鞣しではどう違うのかについてメインで説明し、顔料染がエイジングしない理由についても簡単に説明します。
また、別の記事で、レザーの魅力や金額の違いについて説明している記事もありますので、併せて読んでみてください。
鞣すとは
皮は鞣すことで革になり製品として利用できるようになります。
この目的は皮を腐らなくするためです。
例えば、料理に使う鳥皮を想像してもらえれば分かりますが、ほおっておくとそのうちカビが生えて腐りますよね?
鞣すことで腐敗を防止することができます。
この鞣し方ですが、タンニン鞣しとクロム鞣し、その両方を生かした混合鞣し(コンビ鞣し)があります。
タンニン鞣しの特徴
古くから使われている方法で、植物に含まれる渋(タンニン)を使う方法です。
渋の成分により、繊維がキュッと縮むため、張りがあり、さらにガラス板や木板等で磨くことで光沢がでます。
最大の特徴は、この渋の成分が紫外線と反応することで色が変わり、経年変化(エイジング)を楽しむことができます。
さらに、長年大事に使うことで表面が磨かれ光沢もでてきます。
このタンニン鞣しには、ピット鞣しとドラム鞣しの2種類があり、ピット鞣しの方がより時間がかかり金額が高くなりますが、繊維が密になり、より味わいのある革になります。
ピット鞣し
皮をタンニンの液が入ったピット層に漬けることで鞣しを行います。
この作業ですが、いきなり濃度の濃い液に漬けても表面にしか染み込まず、皮の奥までタンニンの液が浸透しません。
そのため、最初は濃度の薄い液に漬けて徐々に濃度の濃い液に漬けるという作業を行わなければいけないので、非常に時間がかかってしまいます。
液に漬ける期間で約1ヵ月、その後の乾燥作業で約1ヵ月と時間と手間をかけて作られます。
その結果得られるのは、タンニンの渋により、繊維がキュッと締まり張りのある革になり、コバ(革の断面)を見れば繊維の密が良く分かります。
その代わり、価格がどうしても高くなってしまいます。
ドラム鞣し
皮を高速回転するドラムに入れ込み、タンニンの液を皮に押し込む鞣し方です。
ドラムを高速で回転させてタンニンを皮に強制的に押し込むことで一気に作業を行うため、期間は2日くらいで出来上がり、価格は比較的安価になります。
一応タンニンで鞣しを行っているので、経年変化もそれなりにしますが、ピット鞣しのように繊維がキュッと引き締まってはいません。
そのため、革にハリはなくへなへなで、コバも繊維の粗さが目立ちます。
タンニン鞣しのメリット
タンニン鞣しのメリットは上にも書いたように、エイジングするということが挙げられます。
これがタンニン鞣しの最大であり、かつ唯一と言っても過言ではないメリットです。
実は天然の成分で鞣しを行うので環境にやさしいとも言えますが、いち消費者からしたらどうでもいいっちゃどうでもいいですね。
タンニン鞣しのデメリット
エイジングすることがタンニン鞣しの最大のメリットですが、タンニン鞣しには次のような大きなデメリットもあります。
価格が高いのは、上で説明したとおり手間がかかるためですが、タンニン鞣しには水に弱いという大きなデメリットがあります。
本当に非常に水に弱いです。
レザーの種類にもよりますが、ちょっと濡れればすぐにシミになってしまいます。
クロム鞣しの特徴
手間がかかってしまうタンニン鞣しに変わり、近年(といっても数十年以上前から)使われる方法です。
クロムという薬品を使うことで、短期間にしかも安価に皮を鞣すことができます。
簡単に安価に作られるため、市場に出回る革の9割はこのクロム鞣しであると言われています。
特徴としては、鞣し方にもよりますが、基本的には全くハリがなくふにゃふにゃと柔らかい革になります。
クロム鞣しのメリット
クロム鞣しのメリットは丈夫であるということです。
特にタンニン鞣しと比べて水に圧倒的に強いです。
少々水に濡れた程度であれば、なんともありません。
さらに熱にも強く、総合的にタンニン鞣しより耐久性は高くなります。
また、鞣し方にもよりますが、柔らかいレザーになります。
この柔らかさと耐水性を生かすために、クロム鞣しのレザーはジャケットやグローブなどの柔軟性や耐水性・耐久性が求められる製品に使われます。
このように一見いいところばかりのクロム鞣しですが、当然デメリットもあります。
クロム鞣しのデメリット
最大のデメリットとしては経年変化(エイジング)をほとんどしないということです。
エイジングする一つの大きな要因は、タンニン鞣しのタンニンが紫外線と反応することにより生じます。
ですが、当然クロム鞣しだとタンニンが入っていませんので、エイジング(あめ色)に変化することはありません。
またタンニン鞣しと違い繊維が詰まっていないため、コバ(革の断面)が整いません。
断面は革の繊維がそのままむき出しになってしまいます。
そのため、クロム鞣しの場合は特別な薬品をコバに塗ることによりコバの見た目を整えることになります。
ここまでのまとめ
ここまでに、タンニン鞣しの特徴として、経年変化を楽しめるが、水に弱く耐久性に難があるということを説明しました。
また、クロム鞣しの特徴として、水に強く耐久性があるが、経年変化を楽しめないということを説明しました。
そこで近年(といっても結構前から)、この両方の特徴をいいとこどりできないかという発想で新たな鞣し方が考案されました。
それがコンビ(コンビネーション)鞣しという方法です
コンビ鞣しの特徴
コンビ鞣しとは、タンニン鞣しとクロム鞣しのいいろことを取りいれた鞣し方です。
クロム鞣しを行った革にタンニンを入れ込むことで、クロム鞣しの耐久性とタンニン鞣しの経年変化を期待する革です。
タンナーによっては、タンニン鞣しを先に行い、その後にクロム鞣しを行うこともあります。
レッドウィング等のブーツに使われることが多く、オイルを多く含ませているオイルドレザーとして使われています。
一見すると、両方の特性がありもっとも良い革のように思えますが、実際はタンニン鞣しほど経年変化せず、クロム鞣しほど耐久性が高くないです。
しかしながらブーツのように、耐久性は欲しいけど経年変化もしてほしいという製品には適しているかと思います。
特にこのコンビ鞣しについてこだわりをもって作っているレザーは、和乃革で購入することができます。
和乃革のレザーについては別の記事でレビューしていますので読んでみてください。
染め方も重要な要素
この記事では説明をしていませんが、実は染め方もエイジングに重要な影響を与えます。
染め方の違いについては、別の記事で説明していますので参考にしてみてください。
簡単に説明すると、染め方には大きく染料仕上げと顔料仕上げの2種類がありますが、エイジングするのは染料仕上げです。
何も知らずに顔料仕上げのレザーを買ってしまうと、全くエイジングせずにただただ劣化するだけです。
タンニン鞣しのレザーであっても顔料染がされていれば、エイジングをしないので注意が必要です。
レザーの鞣し方のまとめ
レザーの鞣し方について、タンニン鞣し、クロム鞣し、そして両方の良いところどりをしたコンビ鞣しについて説明をしました。
私が一番お勧めするのはタンニン鞣しです。
コンビ鞣しが良いところどりじゃないの??
という疑問があるかと思います。
コンビ鞣しについて、タンニンとクロムの良いところ取りと説明しましたが、厳密に言うと両者の中間と言うほうが近いかもしれません。
やはり、経年変化(エイジング)はタンニン鞣しには及ばないと思っています。
結論としては、エイジングを楽しみたいのであれば、タンニン鞣しの染料仕上げのレザーを購入しなければなりません。
結局タンニン鞣しとクロム鞣しはどっちを買えばいいの??
結局タンニン鞣しとクロム鞣しはどっちを買えばいいの??
という問いに対する答えですが、答えは物によるというのが答えですね。
はっきりした答えはないのかよ!!
という突っ込みがきそうですが、実際のところタンニン鞣しとクロム鞣しどっちが良いかは物によります。
例えば、靴であれば雨の日でも履かないといけないですよね??
タンニン鞣しの靴なんて履こうものなら(実際にはタンニン鞣しの靴もあります)、雨が気になって気になってろくに外も歩けません。
タンニン鞣しのジャケットも同じです(もちろんタンニン鞣しの革ジャンもあります。天神ワークスが有名です)。
逆に財布やキーケースなんかは、ほとんど水濡れの心配がないので、安心してタンニン鞣しのエイジングを楽しむことができます。
その他にカラーにもよります。
ブラックなどの濃い色であれば、水シミはあまり気になりませんが、薄い色であればかなり目立ってしまいます。
最終的な結論を言うと、タンニン鞣しかクロム鞣しのどっちが良いかは物によるが、顔料染はダメだということです。
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